工事写真台帳をAIで自動化する現場の設計
公開: 2026-09-04 株式会社1ttan
工事写真の整理は、現場が進むほど後回しにされる作業の代表格だ。黒板の文字をひとつずつ見てファイル名を付け直し、台帳のExcelに転記する作業は、写真の枚数が増えるほど重くなる。Claude Codeに黒板の読み取りとリネームを任せれば、この転記作業の大半を減らせる。
今回紹介するのは架空データでの実行例である。ポイントは『読み取れた写真』と『読み取れない写真』を機械的に分けることだ。判別できない黒板の文字を無理にAIが補って処理すると、台帳の信頼性が崩れる。読めないものは未分類フォルダに残し、人の目で確認する設計にする。
写真整理が溜まる理由
1つの現場で撮る工事写真は、着工から竣工まで数百枚を超えることが珍しくない。黒板の文字(工種・測点・施工状況など)を見てファイル名を決め、台帳に工種別・日付別で並べる作業は、写真を撮る作業とは別の時間がかかる。
現場代理人が撮影から整理まで一人で担っている会社では、写真整理が週末や現場の合間にしかできず、提出直前にまとめて片付けることになりがちだ。撮影枚数が多い現場ほど、この片付けにかかる時間は積み上がっていく。
AIにやらせる範囲と、やらせない範囲
Claude Codeにやらせるのは、黒板に書かれた文字(工種・測点・日付など)を読み取り、その内容に沿ったファイル名に変換する作業と、工種別に振り分けて台帳の元データを作る作業である。
黒板の文字がかすれている、手ブレしている、黒板が写真に写っていない、といったケースでは、AIに無理な推測をさせない。読み取れない・自信がない写真は『未分類』フォルダに分けて、リネームも台帳登録もせずに残す設計にする。この線引きがないと、誤った測点や日付が台帳に紛れ込み、後から気づきにくいミスになる。
架空データでの実行例
架空の現場写真50枚(黒板あり42枚・黒板なしや判読不能8枚)を想定する。プロンプト例: 『これらの写真の黒板部分を読み取り、「工種_測点_日付.jpg」の形式でリネーム案を出してください。黒板が写っていない、または文字が判読できない写真は、リネームせずに「未分類」としてリストに分けてください。読み取りに自信がない場合も未分類に入れてください。』
この指示で、Claude Codeは読み取れた写真についてリネーム案と工種ごとの仕分け案を出し、判読できない写真は理由(黒板なし・文字不鮮明など)を添えて別リストにする。架空データの実行例では、42枚のうち数枚が『文字は見えるが測点の数字に自信がない』として未分類側に回った。この『自信がない』ものを無理に処理しないことが、台帳の精度を保つ核になる。
未分類フォルダの扱い方
未分類に振り分けられた写真は、人が黒板を見て手入力する。件数が把握できていれば、確認にかかる時間の見込みも立てやすい。未分類の割合が現場や撮影者によって大きく変わる場合は、黒板の書き方(文字の大きさ、置き方)を見直すきっかけにもなる。
台帳への転記は、AIが出したリネーム案と仕分け案を確認したうえで人が確定させる。AIの出力をそのまま台帳に流し込まず、確認の工程を挟む前提にしておく。リネーム案作成までがAI、台帳への最終登録は人という役割分担を崩さない。
AIが苦手なこと
黒板の文字が手書きで崩れている場合や、逆光・夜間撮影で不鮮明な場合の読み取り精度は安定しない。無理に読み取らせるより、未分類に落として人の確認に回したほうが結果的に早い。
写真そのものが技術的に適切かどうか(施工状況が写真として証拠になっているか)の判断はAIの仕事ではない。あくまで文字の読み取りとファイル整理を担うだけだと理解しておく。
台帳運用の型
撮影から台帳登録までの役割分担を、あらかじめ工程表として決めておくと運用がぶれない。
| 工程 | 担当 |
|---|---|
| 撮影 | 現場(人) |
| 黒板読み取り・リネーム案作成 | AI |
| 判読不能写真の仕分け | AI(未分類に分離) |
| 未分類写真の手入力 | 人 |
| 台帳への最終登録 | 人(確認後) |
よくある質問
Q. 何枚くらいの写真からAI整理を試すべきか?
A. 枚数の目安はない。まずは1現場分の写真でリネーム案と未分類の切り分けがどの程度機能するか試し、未分類の割合を見てから運用に組み込むかどうか判断するのがいい。
Q. 台帳のフォーマットが会社ごとに違っても対応できるか?
A. 対応できる。台帳の様式(列の並びや命名規則)をプロンプトに明記すれば、その様式に沿った仕分け案を出させられる。様式を毎回指定する手間は残る。
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