建設業の請求書集計をClaude Codeで自動化する

公開: 2026-08-28 株式会社1ttan

協力会社から届く請求書は、現場ごとにフォーマットも締め日もばらばらだ。月末になるとPDFの束を開いて、現場別・工種別に手作業で転記する担当者は多い。Claude Codeを使えば、PDFの請求書を読み取り、現場別の集計表を作るところまでを任せられる。

ここで大事なのは、金額が合わない請求書を勝手に修正させないことだ。読み取り誤差や協力会社側の記載ミスは必ず起きる。Claude Codeにやらせるのは、不一致を検出して「要確認」に上げるところまでで、金額を書き換える判断は人が行う。

この記事では、請求書PDFから現場別集計表を作る手順と、不一致を直さずに残すための仕組みを、架空データの実行例とプロンプト例で示す。

月末の請求書集計が重い理由

協力会社の数が増えるほど、請求書の書式もばらばらになっていく。手書きの請求書もあれば、Excelから出力したPDF、スマホで撮影した写真もある。担当者はこれを1件ずつ開いて、現場名・工種・金額をExcelに転記していく。

転記作業そのものより、現場名の表記ゆれが手間になる。「◯◯様邸」「◯◯邸新築」「◯◯現場」のように同じ現場でも協力会社ごとに呼び方が違い、集計時にどの現場のものか判断する作業が発生する。

Claude CodeにPDFを渡し、現場名の表記ゆれを吸収しながら現場別・工種別に仕分ける集計表を作らせれば、転記の下書きまでを一度に済ませられる。

任せてよい範囲と人が判断する範囲

PDFからの文字と数字の読み取り、現場別への仕分け、月次の集計表作成はClaude Codeに任せてよい範囲である。複数の請求書を横断して同じ現場のものをまとめる作業も、一定の精度でこなせる。

一方、請求金額と見積・発注金額が一致しない場合に、どちらが正しいかを判断するのは人の仕事だ。読み取りの誤認識で数字がずれているのか、協力会社の請求そのものが誤っているのかは、原本を見て担当者が確認する必要がある。

見積や発注に関わる金額の最終判断も、この線を崩さない。Claude Codeが出すのは集計表と不一致リストの下書きまでで、支払い額の確定は人が行う。

請求書PDFから現場別集計表を作る手順

以下は架空データでの実行例である。実在する協力会社名・金額は含まれていない。

手順の中心は5番目の不一致検出だ。差額がゼロの行は集計表にそのまま反映してよいが、差額がある行は自動で金額を寄せたり平均を取ったりせず、差額とその理由欄を空欄のまま「要確認」として残す。

  • 協力会社から届いたPDF請求書を1つのフォルダにまとめる
  • Claude Codeに各PDFを読み取らせ、現場名・工種・金額・請求日を抽出する
  • 現場名の表記ゆれを、過去の現場一覧と照合してまとめる
  • 現場別・工種別の集計表を作らせる
  • 発注金額や見積金額との差額がある行に「要確認」の印を付けさせる
  • 要確認の行だけを担当者が原本と突き合わせて確認する

不一致を直さずに残す仕組み

請求書の集計で一番危険なのは、AIが気を利かせて差額を丸めてしまうことだ。小さな差なら誤差として無視してよいと自己判断されると、積み重なったときに大きなズレになる。

この表のように、差が出たときの扱いをあらかじめ決めておくと、Claude Codeへの指示もぶれない。「差額があれば必ず要確認欄に理由と共に記録し、金額は書き換えない」という一文をプロンプトに含めておくことが重要だ。

要確認に上がった件数が多い月は、協力会社側の請求フォーマットに問題がある場合もある。集計を続けながら、請求書の書式を協力会社と揃える相談を並行して進めるとよい。

起きること対応
請求額が発注額より高い差額と請求書番号を要確認欄に記録し、協力会社に確認
現場名が読み取れない現場名を空欄にし、原本のファイル名を添えて人が確認
同じ現場の請求が複数月にまたがる月ごとに分けず、対象月の欄に含めて集計し注記を残す

プロンプト実例

プロンプト例: 「添付のPDF請求書を読み取り、現場名・工種・金額・請求日を抽出して現場別の集計表を作ってください。現場名は添付の現場一覧と照合し、表記が違っても同じ現場と判断できる場合はまとめてください。発注金額と請求金額に差がある行は、金額を修正せず『要確認』欄に差額と請求書のファイル名を記載してください。」

この指示で重要なのは「金額を修正せず」という一文だ。これがないと、AIは差額を自動で調整したり、丸めた数字を代わりに入れたりする場合がある。

導入時に起きやすいつまずき

画質や手書きの読み取りは、現時点では完璧ではない。金額の桁だけは、集計表を経理に渡す前に必ず原本と目視で照合する工程を残す。

  • PDFの画質が粗く、金額の桁を読み違える
  • 手書き請求書の数字が誤認識される
  • 現場名の照合リストが古く、新規現場が拾えない
  • 要確認欄を確認せずに集計表をそのまま経理に回してしまう

導入の目安

1ttanは自社の経理・請求業務でも13本の自動化を運用しており(2026年7月時点)、外壁塗装業向けSaaS「ソトエル」の600社超の登録実績を通じて、現場と事務所の情報のずれを扱ってきた。建設業向けにClaude Codeの実装支援も行っている。

請求書集計の自動化は、まず1ヶ月分の請求書で試し、要確認に上がる件数と実際の誤りの数を照らし合わせるところから始めるとよい。要確認の精度が上がれば、経理担当者が原本を開く回数そのものが減っていく。

よくある質問

Q. 手書きの請求書にも対応できるか

A. 文字の癖によっては読み取り精度が下がる。手書きが多い協力会社は、要確認欄に上がる件数が多くなる前提で運用するとよい。

Q. 集計表はどのソフトに出力できるか

A. Excel形式で出力し、既存の月次集計フォーマットに合わせて調整できる。

Q. 支払いの承認作業はどこまで自動化できるか

A. 集計と不一致の検出までがClaude Codeの役割で、支払いの承認と実行は必ず人が行う。

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