防水施工計画書の工法選定根拠をAIで残す
公開: 2026-09-15 株式会社1ttan テーマ: 施工計画書 防水工事業
施工計画書の全体像から読む場合は 施工計画書ドラフトをAIで作る現調メモ活用術 から。
防水工事の施工計画書では、既存防水層の劣化状況からどの改修工法(撤去工法・かぶせ工法など)を選んだかの根拠を書く欄がある。この根拠を文章にする作業は、現場で工法を選ぶ判断そのものより時間がかかることがある。
Claude Codeに現調メモや下地状況の記録を渡せば、工法比較の文章化までを任せられる。今回は架空データでの実行例を使い、施工計画書における工法選定根拠の書き方を示す。工法そのものを選ぶ判断は人が担う前提は崩さない。
工法選定根拠が書類に残らない理由
防水工事では、既存防水層の劣化状況(膨れ・破断・含水など)を見て、撤去して新設するか、既存の上にかぶせるかといった工法を現場で判断する。この判断自体は経験のある職人や現場代理人が現地で下している。
工法の比較検討自体は現場で行われているが、その内容を文章に残していないだけのケースが大半だ。判断の根拠が頭の中や口頭のやり取りにとどまり、施工計画書には結論(選んだ工法)だけが書かれ、比較した他の選択肢やその理由が抜け落ちる。
発注者や監理者から「なぜこの工法を選んだのか」を問われたとき、根拠を後から思い出して書き起こす作業が発生する。現調時のメモが残っていれば書き起こせるが、記憶だけに頼ると説明に時間がかかる。
AIにやらせる範囲とやらせない範囲
Claude Codeにやらせるのは、現調メモや下地状況の記録(劣化の種類・範囲・含水の有無など)を読み込み、それに対応する工法の一般的な選定基準と照らし合わせて、比較検討の文章を組み立てる作業だ。
「この下地状況ならこの工法を選ぶべきだ」という最終判断はAIにさせない。AIが出すのは、メモに書かれた下地状況を根拠に、検討した工法とその適否を整理した文章までであり、どの工法を採用するかの決定は現場の判断を反映させる。
下地状況の記述が曖昧な場合(「一部劣化あり」など)、AIに具体的な数値や範囲を補わせず、「要確認」と明記させる。現調メモにない情報をAIが推測で埋めると、根拠のない記述が施工計画書に残ってしまう。
架空データでの実行例
架空の現調メモを想定する。内容: 「〇〇マンション屋上防水改修、既存はウレタン塗膜防水、膨れが全体の約3割に発生、パラペット際に破断あり、下地コンクリートに含水の疑いあり(打診で確認要)、既存の上にかぶせるより撤去して下地から作り直す方が望ましいと判断」。
プロンプト例: 「以下の現調メモをもとに、施工計画書の『工法選定』の章を作成してください。既存防水層の劣化状況を整理したうえで、撤去工法とかぶせ工法それぞれの適否を検討し、メモにある判断(撤去して下地から作り直す)を採用した根拠として文章化してください。メモにない数値は補わず『要確認』と記載してください。」
このプロンプトに対し、Claude Codeは劣化状況(膨れの範囲・破断の位置・含水の疑い)を整理したうえで、かぶせ工法では含水を残したまま防水層を重ねるリスクがあることを検討材料として挙げ、撤去工法を選んだ根拠として文章化した。含水の程度は「要確認」のまま残した。
工法比較を書き起こす型
施工計画書の工法選定の章は、下地状況・検討した工法・選んだ工法とその理由という3段構成にすると、AIに書かせる際も、後から読む発注者にとっても分かりやすい。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 下地状況 | 現調メモの記述をそのまま整理(数値の補完はしない) |
| 検討した工法 | 一般的な選択肢とその適否(メリット・懸念点) |
| 選定工法と根拠 | 現調メモにある判断を、検討結果と結びつけて文章化 |
AIが苦手なこと
下地の含水率や劣化の進行度を数値で判定することはAIにはできない。打診調査や含水率計での測定結果がなければ、AIは「要確認」とするしかなく、現場での実測を省略する材料にはならない。
工法の最終決定はAIの仕事ではない。施工計画書に書く比較検討の文章はあくまで叩き台であり、実際にその工法で問題ないかは、現場を見た人間が最終的に判断する。
導入のステップ
まず1現場分の現調メモで、工法選定の章がどこまで書けるかを試すところから始めるのがいい。
- 現調メモに下地状況(劣化の種類・範囲・含水の有無)を具体的に書いておく
- 検討した工法とその理由を、簡単でよいのでメモに残す
- AIには『メモにない数値は補わず要確認と書く』ルールを毎回指示する
- 出力された比較検討の文章は、現場を見た人が事実と食い違っていないか確認してから施工計画書に反映する
よくある質問
Q. 現調メモに工法の判断理由を書いていない場合は使えないか
A. 使える。AIに下地状況だけを渡し、一般的な工法比較を書かせたうえで、選定理由の欄を空欄か『要確認』にしておき、人が現場の判断を追記する運用にすればいい。
Q. 発注者ごとに施工計画書の様式が違う場合の対応は
A. 様式(章立てや見出しの言葉づかい)をプロンプトに指定すれば、その様式に沿った文章を出させられる。様式を毎回指定する手間は残る。
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