電気工事の配線写真台帳をAIで整理する方法
公開: 2026-09-18 株式会社1ttan テーマ: 工事写真・台帳 電気工事業
工事写真・台帳の全体像から読む場合は 工事写真台帳をAIで自動化する現場の設計 から。
電気工事では、配線を壁や天井でふさぐ前に写真を撮り、後から確認できないその瞬間の記録として台帳に残す。台帳整理の担当者は、写真と配線図を一枚ずつ照らし合わせる作業に時間を取られている。
当社は、架空データでの実行例として、配線図と現場写真をAIに突き合わせ、区間ごとに写真を整理する検証を行った。整理できなかった写真は候補を絞った別リストとして出力された。
電気工事の配線写真台帳という特殊性
電気工事では、天井や壁の中に配線を通した後、そこをボードや仕上げ材でふさいでしまう。ふさぐ前に配線の経路を写真で残しておかないと、後から確認する手段がなくなる。
この写真は、竣工時の記録としてだけでなく、将来の改修工事や増設工事で「どこに配線が通っているか」を判断する材料にもなる。1つの現場で相当な枚数に及ぶことも珍しくない。
台帳を作る担当者は、撮影した写真を配線図と照らし合わせ、どの経路のどの部分かを一枚ずつ特定してファイル名やフォルダに整理する。この作業は撮影と同じくらい手間がかかる。
隠蔽前の記録という制約
配線写真台帳には、防水工事の写真台帳と似た性質がある。工程が進んで仕上げ材が入ると、撮り直しができない。撮影のタイミングを逃した部分は、記録そのものが存在しなくなる。
そのため、写真の枚数や撮影角度に不足があっても後から補えない。台帳整理の段階で不足に気づいても、現場に戻って撮り直すことはできない場合が多い。
台帳の役割は、施工が正しく行われたことを示す記録であると同時に、将来の工事担当者への申し送りでもある。整理の精度が、後工程の安全性に直結する。
写真台帳の整理をAIに任せる仕組み
この検証では、架空データでの実行例として、配線図と現場で撮影した写真の一覧をAIに読み込ませ、写真がどの経路・どの区間に該当するかを配線図と突き合わせて整理する仕組みを作った。
プロンプト例: 「配線図のB系統、2階廊下からEPS(電気シャフト)までの区間について、撮影した写真を経路順に並べ替えてほしい。写真ごとに、配線図上のどの区間に該当するかをファイル名に付けてほしい。区間が特定できない写真は、別リストにしてほしい。」
AIは配線図の区間情報と写真の撮影順・位置情報を突き合わせ、区間ごとにフォルダ分けした台帳の下書きを作る。特定できない写真を別リストに出すことで、現場への確認事項が明確になる。
架空データでの実行例で分かったこと
架空データでの実行例では、撮影順に整理されていた写真の大半は配線図の区間と自動で対応づけられた。角度が似た写真が複数あるケースでは、写真だけでは区間の判別が難しく、現場での確認が必要になった。
対応づけられなかった写真は、区間が近い候補を絞った形で出力された。ここから先の特定は、配線図と現場の記憶を持つ担当者が担うことになる。
検査・是正で問われる場面
電気工事の配線写真台帳は、竣工検査や消防検査で提出を求められることがある。検査官から特定の区間について「この写真はどこか」と問われたときに、即座に答えられる整理になっているかが問われる。
台帳の整理が粗いと、検査当日に該当写真を探すだけで時間を取られる。区間ごとに整理された状態を事前に用意しておくことが、検査をスムーズに進める材料になる。
AIに任せられる範囲と、現場責任者が最終確認する範囲
AIが行うのは、写真と配線図の突き合わせ、区間ごとの整理までである。撮影された配線が実際に記録どおりの経路を通っているかどうかまでは判断しない。
配線が記録どおりの経路を通っているかの現場確認、検査官への説明、写真の証拠能力についての最終判断は、現場責任者が担う。AIが整理するのは、写真と記録を突き合わせて並べるところまでである。
下書きまでがAIの役割であり、最終判断は人が担う。台帳を検査や是正の場で使う前に、担当者が内容を確認する工程を必ず残す必要がある。
導入する前に確認すべきこと
この検証は架空データでの実行例であり、実在する現場の配線図・写真は使っていない。
配線図がデータ化されておらず紙のままだったり、写真にタイムスタンプや位置情報が付いていなかったりすると、AIが区間を特定する精度が落ちる。撮影時のルールをある程度揃えておくことが前提になる。
まず1つの区間、少ない枚数の写真で試し、AIの整理結果を確認してから、現場全体に広げるとよい。
当社は建設業向けの実装支援を行っており、自社でも自動化の取り組みを重ねている(2026年7月時点で13本)。写真台帳のようなルーティン整理業務は、相談しやすいテーマの一つだ。
よくある質問
Q. この記事の実行例は実在する現場のデータですか。
A. 使っていない。架空データでの実行例であり、実在する物件の配線図・写真ではない。
Q. AIは配線が正しく施工されたかどうか判断してくれますか。
A. 判断しない。写真と配線図の突き合わせ・整理までがAIの役割であり、配線が記録どおりかの確認や検査官への説明は現場責任者が担う。
Q. 写真の枚数や撮り方に条件はありますか。
A. ある。タイムスタンプや位置情報が付いていない写真や、角度が似た写真が多いと、区間の特定精度が落ちる。撮影時のルールをある程度揃えておく必要がある。
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